ピヨだよ。え?ピヨ?

ピヨだよ。え?ピヨ?

実家でトンビを保護している。名前はぴーちゃん。 1年前くらいに、弟が拾ってきた。車とぶつかって怪我をして動けなくなっていたらしい。獣医さんに見せて、治療してもらった後は、自然に戻れるまで保護をすることに。 最初は網で覆った場所に入っていたが、そろそろ自然に戻そうという話になり、牧場の隣の森に放した。飛んでいくかと思ったけれど、ぴーちゃんは飛ばなかった。...
おもしろいことの話をしよう。

おもしろいことの話をしよう。

うつくしいものの話をしよう。いつからだろう。ふと気がつくと、うつくしいということばを、ためらわず口にすることを、誰もしなくなった。そうしてわたしたちの会話は貧しくなった。うつくしいものをうつくしいと言おう。 長田弘「世界はうつくしいと」より抜粋 突然ですが、うちの甥っ子が可愛い。こんな可愛い生き物が、この世にいるのかってくらい可愛い。 もうすぐ2歳になる彼。言葉を覚えて、意思疎通が徐々にできるようになってきた。 我が家に遊びに来て、私の夫と遊んでいる時、お腹から絞り出すような大声で叫んだ。 「っおもしろいっっっっっ!!!」...
あの夏

あの夏

残暑と言うにはあまりにも暑い京都の、日が暮れて間もない青い空気の中に私はいた。部活の帰り道、同回生とキャンパス内を自転車置き場に向かって歩いているところだった。並木から聴こえる、虫の声がうるさかった。 父からの着信。 「おじいちゃんが亡くなったから帰って来い」 覚悟はなんとなくできていた。お盆に帰省したとき、私はおじいちゃんの病室に泊まった。夜中に酸素を自分で外してしまうので、付け直すためだ。おじいちゃんが入院してからは、家族が毎日交代で泊まっていた。 「おじいちゃん、酸素外すと苦しいから取っちゃダメだよ」 と言うと、...
夏の香り

夏の香り

雨上がりの午後に、裏の庭を散歩していると夏の香りがした。 正確に言うと、子供の頃の夏を思い出す香り。 夏の野草、キツリフネ。黄色のこちらの花と、隣には紫色のツリフネソウがいつの間にかたくさん咲いていた。その、蜜の香りだった。 思い出したのは小学生の時の夏休み。毎日野菜出荷のお手伝いに駆り出されていた。子供の仕事は、出荷する野菜を入れる箱を切った野菜の横に並べたり、その箱の中に包装用の新聞を一枚ずつ入れたり、大人が野菜を詰めた箱を閉じて封をしたり。 出荷作業がひと段落すると、畑の横の木陰でお茶を飲みながら一休みする。...